いくりんのブログ

つれづれなるままに、日暮らし、硯にむかひて、心にうつりゆくよしなしごとを、そこはかとなく書きつくれば、あやしうこそものぐるほしけれ。

見えないものを理解する難しさ

 しばらくブログを書いていないことをメール通知で知らされたわけですが、どうも最近はいろいろやることがあって書いていませんでした。この期間、平日の仕事に対して、休日は東京、大阪、観音寺(香川)、笠岡(岡山)に行っておりました。帰省であったり、友人との交流であったりしたわけですが、ある程度有意義に過ごせたのではないかと思います。

 アイドル関連で行くと、欅坂46の長濱ねると日向坂46の柿崎芽実が実際に卒業ということで、ファンにとっては複雑な心境で二人のアイドルとしての最後を見送ったことと思います。

 アイドルのファンができることは非常にちっぽけなことで、握手券を買って握手会でお話をしたり、ライブで推しメンタオルを掲げ、推しメンカラーのサイリウムを振りながらその雄姿を眺め応援したりすることくらいしか大まかに言うとできません。もちろん、お金を払ってアイドルに働きかけることだけがアイドルを応援することではありません。彼女たちが出演するバラエティ、ラジオ、ドラマ、SNSなど、様々な媒体を通じてその美しさや人間性に惹かれ、興味を持ち、注目することだけでもアイドルを応援することにはなり得ます。アイドルと近い距離で直接話すことによって親密性を高めたいと思う人もいれば、遠くから眺めていたい、応援していたいと思う人もいます。運営側としては、CDを大量購入して握手会に来てくれるファンの方がありがたいだろうとは思いますが、アイドルとしては、少なくとも自分を応援してくれるファンがいることはありがたいことだと感じるのではないでしょうか。

 話が変わるようですが、難しい問題があります。人は他人の気持ちが理解できないという問題です。これは程度の差はあれ、一定の真理だと思われます。どんなに好きな相手でも、どんなに心を許した相手でも、その相手が何を考えているのか、その人の思想や生き方に、完全に同意するということは非常に難しい。それは諦めの境地に達して、所詮他人だから解らなくて当然だよねということではありません。人は解らないことを解ろうとする過程にこそ成長のチャンスがあり、その思考が徒労に終わろうが有益であろうが、頭の中で得体の知れないものの本質を探ろうとすること自体は意味のあることです。また、解りあえたときの喜びや充足感は何物にも代えがたいものがあります。

 目に見えるものを理解することは比較的簡単です。あの人はお笑い番組を見ていて笑っているから楽しそうだな、ドラマを見ながら泣いているから悲しいor感動しているのかな、野球の試合でチャンスで三振をして負けてしまったことに悔し涙を流しているなとざっくりと理解することができます。それが実際に正しいかどうかは本人に確認しないと解りませんが、ある程度可能性が高いと言えるでしょう。しかし、私たちの生活において、目に見えない他者の気持ちを理解することの方がはるかに多く、またそれがはるかに難しいことは火を見るよりも明らかです。人間は感情を持った生き物ですが、感情を表現することはできても感情を誰かに正確に伝えることは難しいように、誰かの感情を正確に読み取ることもまた難しいのです。感情というあやふやなものに絶対的な形容詞を付けること自体がナンセンスなのかもしれませんが、誰かの気持ちが行動や言葉に明確に表れない、見えないものを慮ることが、他人との付き合いにはどうしても必要になってきます。あの人は何も言わないけれど、こうすればあの人は喜ぶだろうとか、こうすれば世間様に印象が良いだろうといった、日本的な空気を読むという考え方に対しては、めんどくさい面もありますが、空気を読むというよりも、相手側が何を感じるだろうかということを想像することが重要です。それは、時には無意味なことなのかもしれません。想像したところで理解できないこともたくさんあります。他人を傷つけ、それに自らも心痛めることもあるかもしれません。ただ、その歩みを止めてしまってはならないと思うのです。

 アイドルのファンが好きなアイドルのことをどの程度理解してあげられているか。恐らく全然理解できていないと思います。それは仕方のないことです。彼女たちとともに過ごす時間が少なすぎるからです。アイドルがどのような気持ちで舞台に立ってパフォーマンスしているのか、私たちはたいていの場合、想像でしか語ることができません。後日、雑誌やドキュメンタリーで当時の状況が細かく説明されることがありますが、それは想像の補完に過ぎません。とはいえ、アイドルであっても好きな人について語るとき、その人についての情報をたくさん知りたいと思うのは、そのアイドルの良さを理解したい、誰かに伝えたいからというのはもちろんのこと、そのアイドルの気持ちを第一に理解して、幸せにしてあげたい、幸せになってほしいと願うからではないでしょうか。中途半端な情報で、不十分な想像力でアイドルを応援せざるを得ない状況は危うい。その中途半端な想像力によって、気付かぬうちに、大好きなはずのアイドルの寿命を縮めてしまうことになっているのかもしれません。